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アラブの年末年始とヒジュラ歴

2023年も残すところわずかとなりましたがいかがお過ごしだったでしょうか。

先日、「中東の年末年始ってどうするんですか?」という素朴な疑問を受けました。その質問に淡々と答えたんのですが、日本とはだいぶ違って面白い!と質問された方と盛り上がりました。

改めて考えると中東と日本、まるで全然違う文化を比較してご紹介するのも面白いんじゃないかなと思います。そこで今回は「年末年始」をテーマにアラブの人たちがどんなふうに過ごすのかをお話しします。

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アラブ諸国の年末年始、休みはたったの1日?

アラブの年末年始のお休みは日本の元日1月1日だけです!
こう聞くとビックリかもしれないですが、大多数のアラブ人はイスラームを信仰しているムスリムです。イスラームには「ヒジュラ暦」という独自の暦があってそっちが優先されます。つまり、イスラーム独自の年越しが別にあるんです。

私たちが現在使っている「グレゴリア暦」は別名「西暦」と呼ばれているだけに西洋キリスト教の暦です。よってイスラームとは直接的には関係ないんです。

世界水準で使われているので グレゴリア暦も通常は使用しますが、いわゆる日本で行われるような年末年始の行事はイスラームのヒジュラ暦に準じて行事が行われます。詳しくはもう少し下で説明しますね。

とはいっても1月1日は「Happy New Year」ではあるので、1月1日だけお休みとなっているんです。

クリスマス?「キリスト教でしょ!」

次に、日本人なら誰もが気になる「クリスマス」!

イスラームには全く関係ありません…宗教的に…
街中ではクリスマスツリーやら飾りやらは装飾しますが、あくまで商業的な意味合いで、クリスマスのお祝いはしないですね。

勿論少数ではありますがオリジナルクリスチャンがいるアラブです。だってイエスはパレスチナ出身ですからね。そんなクリスチャンは家族でお祝いして、ミサにも行きます。アラブ諸国でも、もちろん尊重はしますが、ムスリムとは関係ないっていうスタンスです。

サンタさんもすべてのいお家で必ずしも来るとはかぎりませんね。
「なんでかって?わたしたちはクリスチャンじゃないからね。君たち日本人はクリスチャンなのか?だからお祝いするのか?」っていう質問が来ることでしょう。

イスラームの挨拶「クルアーム・アントム・ビ・ハイル」

イスラームでは新年のあいさつを「Happy New Year」ではなく、「その年を通して、あなた方が元気でありますように」みたいな意味で 「クルアーム・アントム・ビ・ハイル」 と挨拶をします。

イスラームのヒジュラ歴

ヒジュラ暦の最後の月を「巡礼の月」と呼びます。その月の最後がの4日間が新年のお祝い期間となります。このことを「アイード・アル・アドハ」犠牲祭と呼びます。但し、ヒジュラ暦は月の満ち欠けをベースにしているので毎年10日ほどずれていきます。ですから年によっては冬、または夏だったりもします。

日本の新年のあいさつとも共通しますがこのお祝いの期間は親戚巡りをします。
まず初日に両親(存命であれば)を訪ね、母にお金をあげます。2日目は姉妹を巡り、やはりお金をあげます。その後も兄弟を訪ねるというように、男性たちが親戚を巡ります。年老いた両親、お嫁に行った女性を巡り挨拶をし、互いが健やかである事を確認して、お金をあげて生活の助けとする、これがイスラームの教えで長年守られてきた伝統なのです。

私もこの祝日に家族巡りを毎年していましたが、やはりお互いの顔を見せ、握手をし、抱き合い、頬にキスをする(アラブの近親の挨拶の作法)ことは人間生きていくうえでとてもいいことに思えますね。やはり一人では生きていけないなって実感しますし、自分にどういうルーツがあるかを再確認でき、新たに凛と生きていく励みになります。

今年も残りわずかとなりましたが、日本の正月も同じような意味があり、やはり家族を大切にするということは世界共通だと改めて感じますね。今年のお正月はみなさんいかがお過ごしでしょうか。

2023年もmuradoを支えてくださりありがとうございました。
2024年も何卒よろしくお願いします。